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若葉の清算
第4章 若葉の清算
文化祭の前日は、授業もなく学校全体で文化祭の準備に取り掛かっていた。
日も暮れだしはじめ、どのクラスも催し物の準備を終えて帰宅する生徒達が増えてきた頃、葵は健斗の電話の指示通りに視聴覚室に向かった。
視聴覚室のある廊下は人の気配もなく、窓からは夕陽が射し込んでいる。
文化祭の準備をしていたので学校指定のジャージ姿のまま、不安そうな面持ちで歩く葵。別れ話を切り出されたらどうしようと思う気持ちが次第に大きくなる。
視聴覚室の前に着くと、一呼吸してゆっくりドアを開けた。
視聴覚室の中には誰もいない。まだ来ていないのかと思った葵は最前列の真ん中の席に座って健斗を待つ事にした。
数分後、ガチャ!っとドアを開けて健斗が入って来た。
「もう来てたのか」
「うん」
健斗は葵の横の席に座った。
「長くダラダラ話してもしょうがないから、簡潔に言うよ」
「......」
葵は不安そうな顔でうつむく。
「もう、別れよう」
「......」
葵は何の言葉も思いつかなくなった。
「それでさ、別れるんだから今までお前に使った金を、返して欲しいんだよね」
「え......?どういう......こと?」
ガチャ!
突然ドアを開ける音がしたので、葵はドアの方を見た。
ドアを開けて入って来たのは田中という学年主任だった。