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若葉の清算
第1章 希望
都内の私立高校に通うカップルがいた。
二人とも高校三年、もうすぐ受験や卒業が控えている。
男の名前は健斗。程よく茶髪でスラッとしていて女子に人気がある。
女の名前は葵。黒髪に近い茶髪の髪を後ろでひとつ結びにしている。葵もまたスラッとしていて、しかも成績もよく学級委員長を務めていた。
下校時間。健斗は男友達と談笑しながら下駄箱の前で靴を履き替えていた。
「健斗!友達と帰るの?」
葵が不服そうに話しかけた。
「ああ、同じ予備校に通ってるから」
付き合い始めた頃は、何時も一緒に下校していた二人。付き合い始めて一年、最近では健斗は男友達と下校する事が増えていた。
まだ不服そうにしている葵に、健斗は面倒だなという表情をした。
「予備校に行くんだから、しょうがないだろ。お前は違う予備校なんだし」
そういうと男友達と去っていった。
男友達はニヤニヤしながら健斗をちゃかした。
「お前はいいよな、あんな可愛い彼女がいてさ」
「良くないよ、面倒なだけ。大学も同じ大学に行こうとか言いだしてさ」
「自慢かよ!」
「自慢じゃないって!なんか重いというか我が儘というか......」
葵は一人で下校しながら、付き合い始めた頃のような二人に戻りたいと悩んでいた。
葵にとって健斗は、初めて付き合った人だった。だから、なおさら健斗への思いや執着が強かった。