この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
若葉の清算
第1章 希望
その日の夜、葵は寝る準備を終えると、ベットの上に座り健斗に電話を掛けた。
次の休日に健斗を遊園地に誘う事にした。健斗と初めてデートした場所に行けば、二人の仲が少しでも良くなるのではないかと葵は思ったからだ。
しかし、健斗の反応はいまいちだった。
「面倒くさいよ、学校も予備校もない日ぐらい休ませてくれよ」
「行こうよ!気分転換になると思うの」
「最近、バイトのシフトも減らして金がないし......」
「割り勘なら良いでしょ?」
「......」
反応の良くない健斗に、葵は強い口調で畳みかけるように話しかける。
「私達付き合ってるんだよね?ねぇ聞いてる?」
「ぁあ......」
「それなら久しぶりにデートに行こうよ。連れて行ってよ」
「ぁあ......割り勘なら......」
葵はホッとした表情をして穏やかな口調で話し続ける。
「二人の高校生活の思い出だから制服で行こうね」
「制服で行くの?まぁいいけどさ......」
それから、スケジュールの打ち合わせなどをして電話を切った。
葵は一安心して掛け布団を鼻までかぶり、久しぶりのデートを想像して胸を躍らせた。