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若葉の清算
第2章 思いで作り
二人は次から次へとアトラクションに乗りデートを楽しんだ。
一緒にパレードを見たり写真を撮ったり、いつしか仲の良いカップルに戻っていた。
屋台で売っていたチュロスやお昼ご飯などは割り勘だったが、今の葵にはどうでもよいと思える程に楽しんだ。
そして、日も暮れてテーマパーク中がイルミネーションで綺麗に輝き始める。
二人はベンチに座り、綺麗な夜景を見ながら休息していた。
葵が寂しそうに呟く。
「そろそろ閉園の時間だね」
「もう、そんな時間かぁ」
「そうだ!最後にお土産を買って帰ろうよ!」
「お土産?俺は別にいいや。買って帰る相手いないし」
「えぇ~。とりあえずお店に行ってみようよ」
葵は無理やり健斗の腕をつかみ、お土産やグッズの売っている店の方へ歩き出した。
葵には考えがあったのだ。
ネットなどで男に好かれる女で検索して、葵なりに健斗に好かれよう、可愛く思われようと勉強した。そして、いつもはツンツンして甘え下手な葵は、少し甘えてみようと考えたのだ。
お土産屋に着くと葵は商品を見て回った。怠そうに付いてくる健斗を気にも留めずに店内を歩き回る。
そして、小さなぬいぐるみを手に健斗に向かって呟いてみた。
「ねぇ、これ可愛くない?これ欲しいなぁ~ん」
「俺が買うの?金無いって言ってるだろ」
「記念にいいでしょ?ねぇ、ねぇぇん......」
「なんだよ急に!」
押し問答の末に、健斗は渋々三千円のぬいぐるみを買って葵にプレゼントした。そして二人は、テーマパークを後にした。