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若葉の清算
第3章 文化祭
テーマパークのデートから一週間が経ち、学校では文化祭の準備に取り掛かる時期になっていた。二人の関係はデート前に比べれば少しは良くなったが、まだまだ葵には不満だった。
授業が終わりクラスメイトと文化祭の準備をする葵。健斗は隣のクラスなので違う催し物の準備をしている。葵は数日前から健斗に、健斗のクラスは何をするのか何度か尋ねたが、内緒の一点張りで何も教えてはくれなかった。そこで葵は、隣のクラスを少し覗いてみようと思った。
廊下に出ると隣のクラスのドアが開いていたので、さりげなく中の様子をうかがう葵。すると、机や椅子を全部後ろに下げた教室の床に座り、女子と楽しそうに話している健斗がいた。かなり親密そうに、笑顔で女子と肩を寄り添わせて何かプリントを見ていた。
ただ催し物の打ち合わせをしているだけと思いつつも、最近では自分に見せなくなった笑顔を他の女子に見せていた。
葵は複雑な心境になった。しかし、とりあえず自分の教室へと戻ることにした。
その場では気持ちを抑えたが、どうにも納得がいかない葵は、その日の夜に電話で健斗を問い質した。
「なんかクラスの女の子と楽しそうに話してたよね」
「あたりまえだろ。他にどうやって話すんだよ」
「すごい笑顔でさ」
「何が言いたいんだよ」
「......。私と、別れたいんでしょ......」
葵は今にも泣きだしそうな声で呟いた。