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若葉の清算
第3章 文化祭
今まで溜め込んでいた感情が溢れ出す。
「なんだよ急に」
「私の事、愛してないんでしょ......」
「今度、電話じゃなくてちゃんと話し合おうよ。な?」
「......」
「な?実際に会って話し合った方がいいだろ?」
「うん」
「今、勉強中だから電話切るぞ」
「うん」
健斗は電話を切った。葵は溢れ出した感情とモヤモヤした気持ちとが入り混じり、その日は寝る事が出来なかった。
次の日から、学校の廊下ですれ違っても健斗は目も合わさなくなった。それどころか、ちゃんと話し合うと言ったっきり何日たっても何の連絡もない。
葵も話しかけづらい気持ちがあり、ただ健斗からの連絡を待った。そして、感情的になってしまった事への自己嫌悪に苛まれていた。
出来れば感情的になってしまった事を謝り、高校生活の最後の文化祭を二人で楽しみたいと思った。テーマパークをデートした時のように、笑顔の健斗になるのではないかと淡い期待を抱いたからだ。
そして、文化祭の前日の朝。葵が学校へ行く準備をしていると健斗から電話がかかって来た。
「今日の放課後、話し合おうよ」
突然の電話で驚いた葵だが、冷静を装って返事をした。
「うん、わかった」