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穴を掘っている
第4章 理想の親子
二年の学期末の個人面談に母さんは来た
どの生徒の母親よりも母さんは若くて美しかった
僕は自慢したい程に……
母さんは美しかった
クラスメートが「悠真の母さん、やっぱし美人だよな」と口々に言った
「そりゃ芸能人だからな」
謙遜して言う
本当なら母さんより美人なんていない
自慢したいけど……
そこまで言ったら……行き過ぎだよね?
僕は母さんの自慢の息子じゃないとダメだからね
言わない
同じ学校で彼女を作る
母さんの前で彼女を紹介する
「母さん!逢わせたい人がいるんだ」
「……はる君……誰?」
「僕の彼女!
母さん、僕の彼女の北村美智さん
美智、母さんだよ!」
学園一の美人の彼女が母さんに笑顔で
「北村美智です
お美しいですね!
逢えて光栄です」
と母さんに言うと母さんは嬉しそうな顔をした
それでいて少し哀しそうで淋しそう
「美作茉莉亜です!
はる君を宜しくね」
「はい!大切な彼氏です」
美智は頬を染めて……そう言った
母さんは悪夢から醒めた様な顔をした
あれは……間違いだと……
僕が気付いたと思ってるんだね
間違い?
何が間違いなの?母さん……
僕は……貴方しか愛せないのに……
美智の顔
母さんに似てるんだよ
心の中で母さん母さん呼んで抱いてるって知ってる?
知らないよね?
知らなくて良い
こんな……穢れた欲望など……
穴の中へ埋めてしまうから……
あと少し……
あと少しで良いから……