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穴を掘っている
第5章 穴を掘っていた
僕は自分の掘った穴の前に立った
この日の為に用意したナイフをポケットから取り出すと
手首をカッ切った
ポタポタと血が滴り落ちる
僕は自分で掘った穴の上に寝た
僕が掘った
僕の棺
土が僕の血を吸い込んで逝く
見上げる空には……
綺麗な月が出ていた
吸い込まれそうな綺麗な月だよ……母さん
僕の人生は
どこで間違えたのですか?
僕には解りません……
僕には最初から母さん
貴方しかいなかった
僕の世界には母さんしかいない
狭い
狭い
僕の世界
この世界が今日終わる
18年生きた日々に終わりを告げる
母さん…凄く静かだよ
眠くなっちゃった
母さん……
母さん……
僕は貴方の望む息子にはなれませんでした
ごめんね母さん
ごめんね……