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人妻淫ら調教
第35章 解き放された蜘蛛の糸(ときほぐされたくものいと)
 高野が悶え、紅い血飛沫が上がり、床を紅く染めた。


「なんで、俺に?うそだろ、、、。」


 高野は言葉をゴボゴボと発しながら、床に転がっていた。
 まだ、刺し続けようとする玲奈を抱き止め、


「玲奈、もう死んだぞ!止めろ!俺が居るだろ!」


 訳のわからないことをさけびながら、玲奈の行動を止めていた。
 玲奈は、ただブルブルと震えていた。
 彼女の肩に毛布を掛けてやりながら、五郎は警察に連絡していた。


「玲奈、警察が来たら正直に殺したって言うんだ。いいな。私が指したって、それだけで良い。それだけで。お前は良い娘だ。さあ、座るんや。」


 包丁を握ったままの玲奈を抱き締め、落ち着かせようと五郎は必死だった。
 十五分ほどすると、サイレンの音が聞こえドアを叩く音が聞こえた。
 五郎は事情聴取をされ、一晩警察で泊まったが釈放された。
 再度の事情聴取があるかもしれないと言われ、連絡先を教えたが、一度検察庁へ呼ばれたが、後は、裁判にも呼ばれる事はなかった。
 高野玲奈は、裁判にかけられる前に精神鑑定をされ、明らかな心身耗弱状態と診断され、精神神経科の病院へ観察入院となり、治療のため相当な期間の入院治療が必要との診断書が裁判所に提出され、長期の入院となった。
 高野進は出血性ショックにより即死。
 事件から一年が立ち、山口五郎が玲奈の病院に面会に出向くと、面会室には少しやつれた感じだが、それが彼女の美しさにむしろ磨きをかけたように、五郎には見えた。


「わかるかい、玲奈。元気そうだね?」


 何気なく聞くと、微笑みながら玲奈が、


「あなた、誰?いえ、まって、思いだすから、うーん、五郎さん、ううん、五郎様、そうでしょ、私のご主人様、、そうよね。」


 嬉しそうに答える玲奈に驚きながら、


「覚えてたんだね、玲奈。そうだよ、ユックリ思いだしなさいな。いやなら、忘れるんだよ。」


 少女のようにあどけない微笑みを浮かべ、玲奈が、


「うん、ユックリ思いだす。思い出すと、帰れるのかな?五郎さま。ご主人様、お願い。」


「うん、帰れるよ。もうしばらく待つんだよ。夏になったら、帰れるよ。約束だ。」


 それだけ言うと五郎は看護師に後を頼み、面会を終らせた。
 五郎は、玲奈の退院が意外に早いと思えた。
 全てを無くした彼女を五郎は待つことにした。(終)
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