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第23章 Lesson 『挿入』問題

長い睫毛が、ヘーゼルの瞳に微かな影を作る――――。

その表情は相変わらず芸術的に美しいのに、胸の内は全く読めない。

――――何だろう？

ヤナセはいつもこっちの気持ちを理解してくれるのに、私はヤナセの胸の内を察することが出来ないでいる。

凄く、歯痒い――――そして情けない。

だけど宇宙スケールのヤナセの頭脳に追いつこうなんて、到底無理な話なのだ。

せめて自分に出来ることを頑張るしかないっ！

そんな決意を胸にヤナセに見惚れていたら、ホズミが肩を揺らして笑い始めた。

「ぷぅぅぅ～うふふ！　チワワちゃんたら、ご主人様が心配なワンコみたいに目がウルウルしてて可愛い～！」

「えっ！？　私、そんな顔してた？」

「してるわよ～。どんどん身体が傾いて行くし、面白くて眺めちゃったわよ～」

「そんな……」

ヤナセの美しさと考え事に夢中になって、無意識に身体まで斜めになっていたのか！？

恥ずかしさに肩を窄め、上目遣いでヤナセとハナブサを見やると、二人とも目を細めて口元に微かな笑みを浮かべている。

うわぁぁぁ――――！
せめて姉さんみたいに、豪快に笑ってくれた方が良いですけどぉぉぉ！
その微妙な薄い笑みが、羞恥心を倍増しにさせるんですけど！！
それともこれも、プレイの一つでしょうか――――！

挙動不審になっているチワワを横でご主人様たちは、クニミツの『挿入問題』会議に終止符を付けに入る。

「ヤナセが気にしているように、あのことも何か情報が聞き出せるかもせれませんね」

「あぁ……その可能性も含めて、アラタとリクもそれぞれ手を打っておこう」

「あら、面白くなりそうね～」

「……？」

「クス……」
「うふ！」
「ふっ」

首を傾げる私にご主人様たちは揃って、其々の美しさを際立たせるような極上の笑みを放ってきた。

きゃんっ！　――――不意打ちを食らったチワワの脳みそがショートする。


最後にラブカル四天王パワーを炸裂させて、クニミツ会議は閉幕したのであった。