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初花凛々
第12章 空は瑠璃色

_____エッチって、痛いんだよ?


_____指でも当たり前に痛いはずだから



凛はその日、会社についてからもずっと、今朝交わした麻耶との会話を思い返していた。


_____痛いのか……やっぱり。


凛は経験がまるで無かったが、周りの友人たちは皆経験済み。そんな友人たちは、皆口を揃えて"初体験は痛い"と言った。


どんな風に痛いのかと、凛は問いかけたことがある。すると返ってきた答えは、"身体が真ん中から裂かれるような"とか、"数日に渡り痛む"など。到底気持ちのいいものとは思えなかった。


なのに人はなぜ、SEXをするのだろう。


凛は考えても考えてもわからなかった。


あの日_____


キャンプで見た西嶋と椿のシーンでも、椿は恍惚とした表情を浮かべ、気持ちいいと口走っていた。それに、この世のものとは思えないほど色っぽく、甘い声を発して_____





「くるちゃん先輩〜」

「んぎゃ!」


驚いて、凛は色気の欠片も見当たらない声が出た。


「なんだ新山さんかぁビックリ……って!」

「ん?なんですか?」

「昨日は……!」


本当にどうもありがとう。そう言いかけたところで、新山は言葉をかぶせてきた。


「昨日大丈夫でしたか?」

「え?あぁ、うん……大丈夫だったよ」

「ふふ。須田さんに迎えに来てもらって正解でした」


_____わたあめから電話もらってさ


凛は昨日の麻耶の言葉を思い出した。


_____一体麻耶と新山さんはどんな関係なの?


連絡先をお互い知っているくらいなんだから、ある程度親密なのはわかる。凛が気になるのは、そこの部分だけではなかった。


_____私、麻耶の連絡先知らない_____


今更だけれど、凛と麻耶は互いの連絡先を知らない。


そのことに気付いてしまった凛。


今まではそんなこと全然気にならなかったのに、凛はいきなり気になり出した。
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