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初花凛々
第15章 蒼然暮色
そろそろ秋の気配が近づいてきた頃、凛の会社では社内旅行に向け統括係が発表された。
_____人事部 胡桃沢 凛
旅行の統括係が掲示板にて発表され、そこには何故か凛の名前があった。
「なんで!?え!なんで!?」
二年連続で統括になるわけがないと、先日優と話したばかりだったのに。凛は不満を漏らした。
_____営業部 須田 麻耶_____
「あ!麻耶もだ!」
統括に麻耶の名も発見した。
部が違い、知らない者同士が集められた統括の中に、知り合いがいることはとても心強いと凛は思った。
昨年は大変だった、と凛は思い出す。けれど偶然同じく統括に選ばれた広報部の優とは自然に打ち解けたんだよね、ということも同時に思い出した。
「めんどくさ」
その日の夜、社内では統括ミーティングがあった。開始時刻ギリギリの時間に打ち合わせの部屋へ怠そうにやってきた麻耶は、既に着席している凛の隣へと腰をおろした。
「私なんて二回目だよ」
「そうなん?」
「そーだよ」
「なにすんの?統括って」
「色々だよ。みんなに配るしおり作ったり、点呼したり」
「聞いてるだけでうんざりする」
聞いておきながら、もう黙ってと言う麻耶に凛は笑った。
「胡桃沢さん」
長いミーティングが終わり、まだ席で書物をしていたら、優がやって来た。
「今年も一緒だからよろしくね」
「え?」
統括のメンバーに優の名は無かったはず、と凛は思った。不思議な顔をした凛に気付き、優は続ける。
「本当は違う奴が選ばれたんだけど、どうやら参加出来ないみたいで。そこで代わりにやってくれないかって頼まれちゃってさ」
「そうなんだ。優くんも一緒ならますます心強いよ」
「僕も」
じゃあまた、と言い、優は立ち去っていった。
「優くん♡」
茶化すように、隣に座る麻耶が言ってきた。
「なにそれ」
「別に」
「優くんてすごくいい人なんだよ。麻耶話したこと……」
「ない。エロメガネじゃん」
「はぁ!?」
麻耶は無表情のまま、立ち去る優の背中を見つめていた。
_____人事部 胡桃沢 凛
旅行の統括係が掲示板にて発表され、そこには何故か凛の名前があった。
「なんで!?え!なんで!?」
二年連続で統括になるわけがないと、先日優と話したばかりだったのに。凛は不満を漏らした。
_____営業部 須田 麻耶_____
「あ!麻耶もだ!」
統括に麻耶の名も発見した。
部が違い、知らない者同士が集められた統括の中に、知り合いがいることはとても心強いと凛は思った。
昨年は大変だった、と凛は思い出す。けれど偶然同じく統括に選ばれた広報部の優とは自然に打ち解けたんだよね、ということも同時に思い出した。
「めんどくさ」
その日の夜、社内では統括ミーティングがあった。開始時刻ギリギリの時間に打ち合わせの部屋へ怠そうにやってきた麻耶は、既に着席している凛の隣へと腰をおろした。
「私なんて二回目だよ」
「そうなん?」
「そーだよ」
「なにすんの?統括って」
「色々だよ。みんなに配るしおり作ったり、点呼したり」
「聞いてるだけでうんざりする」
聞いておきながら、もう黙ってと言う麻耶に凛は笑った。
「胡桃沢さん」
長いミーティングが終わり、まだ席で書物をしていたら、優がやって来た。
「今年も一緒だからよろしくね」
「え?」
統括のメンバーに優の名は無かったはず、と凛は思った。不思議な顔をした凛に気付き、優は続ける。
「本当は違う奴が選ばれたんだけど、どうやら参加出来ないみたいで。そこで代わりにやってくれないかって頼まれちゃってさ」
「そうなんだ。優くんも一緒ならますます心強いよ」
「僕も」
じゃあまた、と言い、優は立ち去っていった。
「優くん♡」
茶化すように、隣に座る麻耶が言ってきた。
「なにそれ」
「別に」
「優くんてすごくいい人なんだよ。麻耶話したこと……」
「ない。エロメガネじゃん」
「はぁ!?」
麻耶は無表情のまま、立ち去る優の背中を見つめていた。