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初花凛々
第15章 蒼然暮色
「触ってもいい?」


まさか、凛の口からそんな言葉が出るとは微塵も予想していなかった麻耶は心底驚いた。今の凛はまるで探検家のように、好奇心が溢れていた。


「ダメ」

「どうして?」

「俺が触る係でしょ」

「いつのまにそんな係になってたの」


クスクスと、麻耶の腕の中で凛が笑う。


薄暗い部屋で、年頃の男女が抱き合う。それも裸で____


麻耶は自我を規制するのも限界だと思った。けれどこんなに純真無垢で、まだ汚れを知らない凛を守りたいと思うのも本当だった。


「……なんか腹減ったな。飯食うか」


これが麻耶の精一杯。どうにか気分を切り替えようとした。


けれどもやはり男の生態なんかまるで知らない凛は、そんな麻耶の気持ちに気付かない。


「まだこうしてたい」


凛は麻耶に、そんな言葉をかけた。


ふーっと、麻耶は息を吐く。欲望も共に吐き出したいと思いながら。


「麻耶ってやっぱりいい匂いがする」


凛はそう言って、麻耶のみぞおち辺りに鼻を近づけている。


そんな凛を隣に、麻耶の男の象徴はおさまるどころか膨れ上がるばかりだった。
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