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第16章 夏深し

やっと麻耶の気持ち良い顔が見れる____


凛はまた、何も手につかずにいた。


ようやく定時になり、いそいそとロッカールームへと向かっていた時だった。


「胡桃沢さん」


ロッカールームの前で、広報部の優に話しかけられた。


「今日、統括のミーティングあるって聞いた？」

「えっ！そうなの！？」

「あ、やっぱり知らなかったかー。俺もついさっき知ってさ」


凛は少しガッカリした。今日はいち早く帰宅して、麻耶と一緒に過ごしたいと思っていたから。


けれどミーティングがあるのならば仕方がない。


「ミーティングってどこ行けばいいのかな？」

「第二会議室だって」

「わかった」


はぁ、と無意識にため息を吐く凛。けれど統括ならば麻耶もいるはず。そう思うと、このミーティングもそこまで憂鬱でもないな、と思った。






「あれ？誰もいない」


優と第二会議室へ向かうが、そこには誰もいなかった。


「おかしいなぁ。聞き間違いかな？」


優はそう言って、困ったように頭を掻いていた。


「もしかして違う部屋かもよ。掲示板見に行かない？」

「俺見てくるよ。胡桃沢さんここで待ってて」

「いいの？」

「うん、掲示板遠いし」

「や、優くんこそここで待ってて。私ひとっ走りして見てくるから」

「あ____」


優は何か言いかけていたが、凛は掲示板を見に急いだ。