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初花凛々
第16章 夏深し
どうしてこんなにも麻耶は渋るのか____


「私以外にはさせてるでしょ?」

「……まぁ、うん」

「だったらさせてよ!それだってエッチの練習の一環でしょ!?」


凛は思わず声が大きくなってしまっていることに気付いていない。それほどまでに必死だった。


「わかったから、ちょっと声おさえて」


麻耶は笑いながら、凛をなだめる。


「今わかったって言ったね!?バッチリ聞いたんだからね!」

「はいはい」

「もうっ!真剣なんだからこっちは!」

「俺だって真剣だよ」


麻耶は凛の右手を、そっと握った。


「……凛ってさ」

「なに?」

「なんか良いよな」

「なんかって何?」

「わかんねぇ」

「なにそれ、意味わかんない」


凛には麻耶の言いたいことがわからなかった。


きっとそれは、麻耶自身にもわからない。
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