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初花凛々
第17章 月代
「さて、始めますか」

「は、はいっ」


今日も二人は和みの湯で身体を洗い流し、麻耶の部屋へやってきた。
麻耶はソファに腰掛け、その隣に凛も座った。____なぜか正座で。


「麻耶……」

「ん?」

「あのね……」


凛は深刻な声を出す。それにつられて、ついつい麻耶も真剣な顔つきになった。


「やり方がわからないの」


それを聞いて、麻耶は力が抜けて行く。


「調べたんじゃなかったの?」

「や、調べたけど……吸うってことしか」

「吸う?」

「な、舐めるにしても、ほら、どこをどうしたら気持ちいいのかな、と」


こんなことを説明することになるなんて。さすがにそこまでは麻耶も予想していなかった。


「ねぇ……」


何も言わない麻耶に、やはり無茶苦茶すぎるかと、凛も不安になった。


ふーっと麻耶は小さく息を吐いて、隣に正座する凛を見た。


「お、怒ってる?」

「いや」

「呆れてる……?」

「……違う」

「じゃあなに?」


すっかり眉も下がった顔で麻耶を見ている凛。その姿はまるで、ご主人様のご機嫌を伺う飼い猫のようだった。


「……男ってさ、気持ち良くなると、射精ってのがあんの」

「うん、習ったことある……保健体育の教科書で」

「どこから出るか知ってる?」

「それくらいわかります」

「そこ、本当に舐めれるの?凛は」


そう言って、麻耶は凛の唇を見つめた。桃色で、少し厚めで、艶っぽいその唇。この唇で愛されたら____気持ちいいだろうなと麻耶は思った。


一方の凛も、麻耶の問いに対しイエスの返事しか出来ないと思った。なぜなら、麻耶のそこを見たくて見たくてたまらないから。そして、咥えてみたいから____


「舐めたい。麻耶のこと、気持ちよくさせたい」


凛は一寸の迷いもなく、答えた。



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