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初花凛々
第19章 十六夜
麻耶は凛の腹部に撒き散らした白い液体を綺麗に拭き取り、まだ横たわったままの凛に覆いかぶさった。


「やべ、俺って早漏…?」


麻耶は凛の耳元でボソッと呟いた。


「早漏ってなに?」

「……なんでもない」


麻耶はショックだった。麻耶はそれまで、自分の持久力には自信があったから、尚更。
それも、経験のない無垢な女の子にこんなにもあっけなく。


「麻耶、あったかい」


凛は麻耶の胸中などわかるはずもなく、覆い被さる麻耶の背中に腕を回した。


側から見れば、まるで恋人同士のような二人_____


けれども、あくまでも二人はただの友人。恋人ではない。いつまでもこんな時間が続かないという事は、麻耶も凛もよくわかっていた。








「……ねぇ、麻耶は気持ちいいの?」


凛は薄々、SEXは気持ちのいいものだと気付き始めていた。


麻耶の指や唇で触れられると、擽ったさの中に、微かに、確かに生まれつつある快感____


凛の素朴な疑問に対して、麻耶は「気持ちいいよ」と言った。


「どんな風に気持ちいいの?擽ったいの?」

「擽ったい……とはまた違うかな」

「わかるように説明して」

「凛もそのうち経験するから、楽しみにしとけばいいよ」


凛は思った。


もし、その経験をするならば、相手は麻耶がいい_____ と。


「……それって、前兆みたいのある?」

「あるかも。女はわかんないけど。なんか込み上げてくるみたいなさ」

「私、もしかしたらそうかも」

「え?イキそうってこと?」

「イキそう?」


いちいち全てを説明しなければ、何もわからない凛に麻耶は笑った。


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