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初花凛々
第20章 山、粧う
そんな凛をよそに、麻耶は言う。


出張中、凛に会いたかった____と。


「なっ、なんで!?」

「なんでって。夜ほとんど凛といたからかな」

「そっか……」

「土産選ぶときもさ、凛ぽいなと思って、豚にした」

「わ、私豚っぽいかな?」

「じゃなくて。こういうの喜ぶかなーって」

「あ、そういうこと……」


凛はまた、麻耶の言葉に容易く翻弄される。


「ぶひぶひ」

「ちょっと」


麻耶は凛の鼻に指を添えて、子豚さんだと笑った。笑う麻耶を見て、やっぱり麻耶と過ごすと楽しい、と凛は思った。


「あと今日これ借りてきた」


麻耶は数枚のDVDをレンタルしてきて、見ようと凛を誘った。


「おおお!これは!」

「知ってる?」

「知ってる知ってる!深夜に入ってるやつ!」

「やっぱり。凛好きだと思った」


麻耶が借りてきたのは、なんてことないバラエティ番組。深夜に放送されていた、くだらないテーマを元に芸人たちが談議するというもの。


麻耶は凛の親父な部分を、本当によくわかっていた。


芋焼酎を嗜みながら子豚のスイートポテトをつまみ、バラエティ番組のDVDを見る。そして隣には麻耶がいて。至福の時間だ、と凛は思った。





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