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初花凛々
第21章 秋桜の夜
酒が喉元を熱くする。そして、身体の中までも。


麻耶は借りてきたDVDを見て呑気に笑っているが、凛の頭にはもう内容なんか入ってこない。


凛は焼酎が入った切子をジッと見つめ、一人顔を赤くした。


「酔った?」

「へっ?」

「顔、赤いから。普段あんま変わんないのに」


凛はすぐ横に座る麻耶に頬を指でちょんとされ、呼吸が乱れた気さえした。


そのとき、ブブブッと携帯のマナーの音がした。


「あ、電話出てもいい?」

「うん」


麻耶は凛に断りを入れて着信に応答した。


すると僅かに漏れてきた声に、凛は忘れていたことを突如として思い出す。


____須田くん。もう鹿児島から帰ってきた?


聞き覚えのある声。電話の向こうからは、椿の声がした。


____椿は須田のことが好きだしね


今日の西嶋の言葉。なぜか今の今まで忘れ、浮かれて楽しんでいたが。一度思い出すと、それは一気に溢れ出す。


ちょうどタイミングを見計らったように洗濯機からピーピーと終了を知らせる音がして、凛は麻耶の隣からすっくと立ち上がり部屋を出た。


僅かな洗濯物を干し戻ると、既に麻耶は電話を終えていた。


「麻耶……、椿さんにお土産渡しに行かなくていいの?」

「え、なんで?」

「ここでこうしてる場合じゃなくない?」


早く行けと言わんばかりに、凛は麻耶を急かした。


「いや、あいつには買ってないよ」

「でも……行かなきゃ……なんで麻耶ここにいるの?」

「はい?」

「椿さん待ってるんじゃない?」


酒のせいもあるのだろう、凛は少々頭が混乱していた。


普段こうして二人で過ごしているから忘れていた。麻耶と凛は、本来違う生活圏で過ごしていたことを。
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