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初花凛々
第21章 秋桜の夜
そもそも麻耶は酒を体内に入れたから、運転は出来ない。そんな事も凛は頭からすっぽ抜けてしまっている。


とにかく早く行ってと、麻耶を急かす。


「……帰ればいいの?」


そう聞かれて、けれど凛はそこでイエスと言えない。なぜなら、早く行ってというのは凛の建前であって、本音ではないから。


本音はもちろん、一緒にいたいと思ってはいるけれど。


「だって、椿さんが……」

「たまたま電話きただけで、別に会う約束とかしてないけど」

「でもきっと麻耶のこと待ってる……」


凛は自分で自分のことがよくわからなくなっていた。


麻耶にどうしてほしいのか、自分はどうしたいのか。わからずにいた。


「……俺が電話出なきゃ良かったんだよね、ごめん。でも、別に椿とはそんなんじゃない。そもそも椿は西嶋と____ 」

「違うの!」


凛はつい、声が大きくなってしまう。そのことに凛は気が付いていない。


「違うってなにが?」


____椿は須田のことが好きだしね


酔った頭でもわかる、あれは西嶋がうっかり口を滑らせただけのこと。それを凛が麻耶本人に伝えるなんて、許されないと凛は思った。


「……そこは言えないけど、でもとにかく麻耶はここにいたらダメなの!」

「なんで?わけわかんねー。いきなりなんなの?」

「だって、だって……っ」


凛をこんなにもパニックに陥れるもの_____


側から見れば、他の女性に対する嫉妬心からくるものだと思われるだろう。


けれど違う。


今凛を襲っているのは劣等感。


麻耶を取り巻く女性たちがあまりにキラキラと輝いて見える凛にとって、そんな女性たちに好かれている麻耶は、やはり自分とは住む世界が違うのだ、と、凛は卑屈に考えてしまう。
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