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初花凛々
第22章 秋葉舞いて
「____ 日程は以上。それぞれの部の参加人数を最終確認してください」
社内研修旅行を一週間後に控え、今日も統括ミーティングが開かれていた。二年連続で統括に選ばれた凛は、その大変さを知っているだけに面倒臭さは昨年の倍。
旅行の日程が記された数枚の紙を手にうな垂れた。
そしてもう一人、デスクにうな垂れる者が一名____
「……俺、こういうの苦手」
「そう?まとめるの得意そうなのに」
「全然」
ただでさえ、社内研修は面倒くさいのに、と、麻耶は気怠さを全身に纏い呟いた。
「……けど、聞いた話によると統括だけに社長が飯奢ってくれるって、マジ?」
麻耶は期待を込めた目で、凛を見た。
「最終日にあるよ」
麻耶の言う通り、旅行最終日の夜は統括だけを集め、社長がご飯を奢ってくれるという素敵な褒美が待っている。
しかも、そのご飯というのが毎年豪華なのだ。昨年、凛は料亭でふぐ料理を食べさせてもらったし、その前の年は松坂牛の鉄板焼きだったらしい。
「今年はなにかなぁ」
「懐石料理とかかもよ。今年、温泉街だし」
「えー」
そんなんじゃ腹満たされないと、麻耶はブツブツと文句を垂らした。
「統括になって、だりーとか思ったけど、やっぱり楽しみかも」
「なんで?」
「凛がいるし」
何気なく放たれた麻耶の言葉に、凛はまた翻弄される。
「わっ、わたし?」
「うん。酒の好み合うし」
「あ、そういうことね」
一体凛は何に期待したのか。けれども麻耶の言う通り、凛も例年より楽しみだと思っていた。
それはやはり、麻耶と仲良くなれたから____
しかも同じく統括に選ばれ、顔を合わす機会だって多い。普段麻耶とは銭湯や居酒屋に出向くことはあるけれど、こんな風に遠出するのは夏に別荘へ行った以来だと、凛は楽しみにしていた。
社内研修旅行を一週間後に控え、今日も統括ミーティングが開かれていた。二年連続で統括に選ばれた凛は、その大変さを知っているだけに面倒臭さは昨年の倍。
旅行の日程が記された数枚の紙を手にうな垂れた。
そしてもう一人、デスクにうな垂れる者が一名____
「……俺、こういうの苦手」
「そう?まとめるの得意そうなのに」
「全然」
ただでさえ、社内研修は面倒くさいのに、と、麻耶は気怠さを全身に纏い呟いた。
「……けど、聞いた話によると統括だけに社長が飯奢ってくれるって、マジ?」
麻耶は期待を込めた目で、凛を見た。
「最終日にあるよ」
麻耶の言う通り、旅行最終日の夜は統括だけを集め、社長がご飯を奢ってくれるという素敵な褒美が待っている。
しかも、そのご飯というのが毎年豪華なのだ。昨年、凛は料亭でふぐ料理を食べさせてもらったし、その前の年は松坂牛の鉄板焼きだったらしい。
「今年はなにかなぁ」
「懐石料理とかかもよ。今年、温泉街だし」
「えー」
そんなんじゃ腹満たされないと、麻耶はブツブツと文句を垂らした。
「統括になって、だりーとか思ったけど、やっぱり楽しみかも」
「なんで?」
「凛がいるし」
何気なく放たれた麻耶の言葉に、凛はまた翻弄される。
「わっ、わたし?」
「うん。酒の好み合うし」
「あ、そういうことね」
一体凛は何に期待したのか。けれども麻耶の言う通り、凛も例年より楽しみだと思っていた。
それはやはり、麻耶と仲良くなれたから____
しかも同じく統括に選ばれ、顔を合わす機会だって多い。普段麻耶とは銭湯や居酒屋に出向くことはあるけれど、こんな風に遠出するのは夏に別荘へ行った以来だと、凛は楽しみにしていた。