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初花凛々
第22章 秋葉舞いて
そして、旅行の前日。


麻耶に誘われ、凛はドラッグストアにいた。


何を買うのかと聞くと凛が使っているシャンプーとボディソープが欲しいのだと言う。


凛はとりあえず麻耶に従いドラッグストアへと出向いた。


凛が普段使いしているのは、ハチミツのボディソープと林檎のシャンプー。それを麻耶に教えると、今度から麻耶もそれにすることにしたらしい。


「私もついでに買い物して来ていい?」

「どうぞ」


凛は家用の洗濯洗剤や柔軟剤がそろそろ無くなることを思い出し、別行動をした。


必要な物をカゴに入れ、凛はドラッグストアの新商品をチェックする。普段からヘアケアや肌のケアに余念がない凛は、陳列棚にめぼしいものはないか見て回った。


店内をグルグルと回るうちに、凛の目は一点に止まる。


それは見た目にも可愛らしいパステルカラーのボトルに、フルーツのイラストが描かれたものが並んでいる。


____新しいボディミルクかな?


そう思い手に取ると、ボトルの裏の説明書きには"潤滑剤"と表記されてあった。


____潤滑?


一体何に使うのかと、凛は頭を捻らせた。すると後ろから、「凛には必要ないよ」と、麻耶の声がした。


「へっ?これが何か麻耶知ってるの?」

「……うん」


いかにも男性には縁のなさそうな可愛らしいボトルなのに。そう思いながら凛はそれを棚に戻した。


____すると、その隣に置いてあったものに、これの正体はなんなのか凛にもわかった。


隣にあったのは、以前麻耶の部屋で見た事がある____


黒字にピンクラメのバタフライが描かれた小箱。チョコレートでも入っていそうなサイズのそれは、コンドーム。


麻耶に必要ない、と言われたのは、挿入時スムーズに事が進むように使われるものだった。


「ひ、必要じゃない?これ……」

「いつもの凛の濡れ具合だと、これがなくても充分だと思うけど」


麻耶に言われ、確かにそうかも、と凛は思った。


いつも麻耶にショーツを脱がされる時、糸がひくほどだということも思い出し、やはりこれは必要ないと思えた。
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