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初花凛々
第4章 遣らずの雨
_____翌日
その日もまた、梅雨の名残が空から降っていた。
_____今年の梅雨は長いなぁ。
思いながら、凛はいつものように会社へと向かった。
人事部のフロアに上がり、自分のデスクに腰を下ろしパソコンを立ち上げていると「くるちゃん」と、背後から声をかけられた。
凛はとても驚いた。なぜなら、その愛称で呼ぶのは後輩の新山しかいないのに、男性の声だったから。
慌てて振り向くと、右頬にグッと指の先端が押し当てられる。
そこに立っていたのは須田。驚く凛に向けてイタズラな笑みを浮かべている。
今日も須田の髪はいつものように栗色で、無造作なようでいて、完璧にセットされている。
「おはよー」
「なっ、なにしてんの!?」
「なにって俺もここのフロアですけど。なにを今更」
凛が驚いたのは須田がここにいることではなくて、その呼び名なのだけれど。須田は知らないふりをして凛をからかい続ける。
「昨日は一線越えちゃったね」
「ばっ!変なこと言わないでよ!ただ私の部屋に来てご飯を_____ 」
凛は言いかけてふと止まった。変なことを、大声で言っているのは自分だと気付いた。
「ちょっと!こっち来て!」
凛は小声で須田を廊下へと促した。
その日もまた、梅雨の名残が空から降っていた。
_____今年の梅雨は長いなぁ。
思いながら、凛はいつものように会社へと向かった。
人事部のフロアに上がり、自分のデスクに腰を下ろしパソコンを立ち上げていると「くるちゃん」と、背後から声をかけられた。
凛はとても驚いた。なぜなら、その愛称で呼ぶのは後輩の新山しかいないのに、男性の声だったから。
慌てて振り向くと、右頬にグッと指の先端が押し当てられる。
そこに立っていたのは須田。驚く凛に向けてイタズラな笑みを浮かべている。
今日も須田の髪はいつものように栗色で、無造作なようでいて、完璧にセットされている。
「おはよー」
「なっ、なにしてんの!?」
「なにって俺もここのフロアですけど。なにを今更」
凛が驚いたのは須田がここにいることではなくて、その呼び名なのだけれど。須田は知らないふりをして凛をからかい続ける。
「昨日は一線越えちゃったね」
「ばっ!変なこと言わないでよ!ただ私の部屋に来てご飯を_____ 」
凛は言いかけてふと止まった。変なことを、大声で言っているのは自分だと気付いた。
「ちょっと!こっち来て!」
凛は小声で須田を廊下へと促した。