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初花凛々
第28章 萌し
「_____報告は以上になります」
明けて、月曜日。
社内の朝礼では、麻耶が社員皆の前で、凛の勤める会社の本社のトップ_____、CEOへの報告を済ませた。
いつもはこの報告はそれぞれの部内でひっそりと行われるものだが、この日はたまたま月に一度の全体朝礼、しかも年末に向け奮起する時期でもあるので、本社のCEOが抜きうち的に訪れていた為、わざとその措置が取られた。
大きな案件を手に入れた社員を見習えとの、会社側の意向も見え隠れする、
凛は麻耶がこうして報告する様を初めて目の当たりにした。
部が違う凛は麻耶が普段どんな仕事をして、どんな立ち振る舞いをしているかなんて知らない。
今回出張前後を共にした凛は、麻耶の仕事ぶりに感心してしまった。
寝起きの麻耶の姿も知っている凛にとって、しっかりと報告をする麻耶の横顔を見て、激しいギャップを感じる。そして、どうして麻耶がモテるのかを再確認した朝だった。
「俺、2キロ痩せてた」
その日の昼休み、社食でお昼を食べる凛の隣に麻耶が来た。
「2キロも……」
「恐るべし、牡蠣」
もう2度と口にしたくないと、麻耶は苦笑いを浮かべた。
偶然にも、その日凛が食べていたのは日替わりA定食。
特製牡蠣フライがメインだった。
「……あっ、これは別に麻耶を意識したわけではなくて!」
「凛は牡蠣すきなの?」
「初めて食べた」
「マジか。俺のあんな光景見てよく食べようと思ったね」
「だからたまたまなの!」
「まぁいいよ。もし凛が牡蠣に当たったら、今度は俺が助けるから」
「やだ!当たりたくない!めちゃくちゃ苦しそうだったもの!」
「苦しいよ。でも凛のおかげで、助かった。本当ありがとな」
麻耶はそう礼を言うと、今は冬目前なのに、まるで春の予感をさせるほど、柔らかな笑顔を凛に向けてきた。
その笑顔には、凛の向かいに座っていた新山も目を見張るほどで。
「凛、今日一緒に帰ろ」
「あ、う、うん」
「じゃーまたね」
凛は久しぶりに、金縛りに見舞われたようだった。
明けて、月曜日。
社内の朝礼では、麻耶が社員皆の前で、凛の勤める会社の本社のトップ_____、CEOへの報告を済ませた。
いつもはこの報告はそれぞれの部内でひっそりと行われるものだが、この日はたまたま月に一度の全体朝礼、しかも年末に向け奮起する時期でもあるので、本社のCEOが抜きうち的に訪れていた為、わざとその措置が取られた。
大きな案件を手に入れた社員を見習えとの、会社側の意向も見え隠れする、
凛は麻耶がこうして報告する様を初めて目の当たりにした。
部が違う凛は麻耶が普段どんな仕事をして、どんな立ち振る舞いをしているかなんて知らない。
今回出張前後を共にした凛は、麻耶の仕事ぶりに感心してしまった。
寝起きの麻耶の姿も知っている凛にとって、しっかりと報告をする麻耶の横顔を見て、激しいギャップを感じる。そして、どうして麻耶がモテるのかを再確認した朝だった。
「俺、2キロ痩せてた」
その日の昼休み、社食でお昼を食べる凛の隣に麻耶が来た。
「2キロも……」
「恐るべし、牡蠣」
もう2度と口にしたくないと、麻耶は苦笑いを浮かべた。
偶然にも、その日凛が食べていたのは日替わりA定食。
特製牡蠣フライがメインだった。
「……あっ、これは別に麻耶を意識したわけではなくて!」
「凛は牡蠣すきなの?」
「初めて食べた」
「マジか。俺のあんな光景見てよく食べようと思ったね」
「だからたまたまなの!」
「まぁいいよ。もし凛が牡蠣に当たったら、今度は俺が助けるから」
「やだ!当たりたくない!めちゃくちゃ苦しそうだったもの!」
「苦しいよ。でも凛のおかげで、助かった。本当ありがとな」
麻耶はそう礼を言うと、今は冬目前なのに、まるで春の予感をさせるほど、柔らかな笑顔を凛に向けてきた。
その笑顔には、凛の向かいに座っていた新山も目を見張るほどで。
「凛、今日一緒に帰ろ」
「あ、う、うん」
「じゃーまたね」
凛は久しぶりに、金縛りに見舞われたようだった。