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初花凛々
第33章 茜さす
「麻耶」


また、用もなく凛は麻耶のことを呼んでしまう。


麻耶もまた、優しい眼差しを返してくれる。


凛は自分でも驚くほど、麻耶に対し絶大なる信頼を寄せてしまっている。


彼はやめた方がいいだとか、辛くなるだとか。


そんな周囲の言葉よりも、目の前にいる麻耶しか凛はわからない。


それに麻耶だって。信じてほしいと、凛に言ったから。


だから凛は麻耶のことを、信じている。






ナポリタンもあと一口というところで、麻耶が語り出した。


「作ってる間、凛のことばっか考えてた」

「え?」

「ひとくち食べた時、どんな顔するかなーとか。なんて言うのかなって」


凛はこんな風に、男の人に手料理を振舞われたことは初めてだった。


その、初めてが。こんなにも幸せで……






「……私、全部初めてが麻耶で本当に良かった」


そう


凛にとって、手を繋ぐのも、こうして部屋で二人きりで寛ぐのも。


キスも、SEXも。


こんなにも愛しくて幸せな気持ちになるということも。


全ての始まりは麻耶なのだ。







「……そっか」


麻耶は照れているような、困ったような不思議な表情を浮かべて、シャルドネを飲んだ。


やはり凛はこんな時、麻耶の喉仏から目が離せなくなる。







「……麻耶?」


心なしか、麻耶は先程よりも無言になった気がする。


いつからかは思い出せないけれど、気付いたら。


後片付けを終えた頃からだろうか。


よくわからない。


「あ、ごめん。今なんか言った?」

「ううん」

「風呂入って来る」

「うん」


麻耶がバスルームへと消えて、凛はリビングに一人残り、記憶を辿る。


その時に鳴り出した携帯電話。


テーブルの上に置かれている、麻耶の電話だ。


見るつもりなんてなかった。


けれど、勝手に目に飛び込んでくる。


これがひと昔前の電話ならば問題はなかった。


ディスプレイがまる見えな最新機器は、知りたくもない情報を勝手に伝えてくるのだ。












新山 奈々


麻耶の携帯電話のディスプレイには、新山の名前が表示されていた。
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