この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
初花凛々
第34章 時雨心地
「麻耶はいい奴だよ。選んで正解」


瀬名の口から出たのは、凛の予想を大幅に裏切るものだった。


凛はきっと、ポカンと口を開けたままだったと思う。


「麻耶は昔から、本当いい奴で。俺は高校から仲良くなったけど、知ってる奴の中で一番性格もいいし。きっと幸せにしてくれる……っていうか、今、幸せでしょ?」


凛は段々、喉の奥の方がギュウッと潰されたように苦しくなって、急いで唾を飲み込んだ。


けれどもやはり、苦しい。


もう、ダメだ。


そう思った瞬間目の前がぼやけ、つうっと、涙が一粒頬を伝い


ぽたりと、膝の上に落ちた。


「……凛?」


隣にいる麻耶はこの時も、凛の心中を読めずにいた。


いきなり流れた凛の涙に困惑した。


「嬉しい……」

「え?」

「麻耶の良いところ、ちゃんとわかってくれてる人がいて……嬉しい」


凛は、周囲の抱く麻耶のイメージと、実際目の前にいる麻耶とのギャップに深く傷ついていた。


_____この男は止めときなよ


_____須田は胡桃沢さんの手には負えないよ


そう言われるほど、酷い人間だとは到底思えない


こんなにも優しくて、温かい人が、なぜそんな風に言われなくてはならないのかと……


凛は、苦しかったのだ。


「私が麻耶の良いところ知ってるから、いいんだって思ってたけど……」


悪口を聞くのはもう嫌だった。


「麻耶の良いところ、拡声器使って叫びたい」


そんな凛の言葉に瀬名は吹き出して笑った。
/452ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ