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初花凛々
第5章 夕凪
須田のフォローもありつつだったが、凛は西嶋と話すことが出来た。
「芋焼酎好きなの?いいじゃん。俺も麦焼酎は良く飲むんだ」
「麦……飲んだことないです」
「飲みたくなったらいつでも。お勧め教えてあげるよ」
「ありがとうございます」
須田と所々で目が合う。その度に、まるで母親のような、親友のような。そんな優しい笑みを須田は浮かべていた。
「っあー!これだよ、これ!」
凛は帰宅と同時に、キンキンに冷えた缶ビールの蓋をプシュッと音を立てて開けた。
それをひとおもいに流し入れると、舞い上がった体温がゆっくりと冷えてゆくようだった。
「……さっきと別人だね」
須田がボソッと呟いた。
「今日はどうもありがとう。須田くんのおかげだよー!」
凛はバンバンと須田の肩を叩いた。
凛は今日の礼だといい、焼き鳥屋のあと須田をアパートへと招いた。
礼の礼の礼だと言い、須田と凛は笑い合った。
男性に不慣れな凛だけれど、須田にはすっかり心を開いていた。
「……不思議だよね」
アパートの部屋で、ネクタイを緩め寛ぐ須田を見て、凛は呟く。
「私たち、たった数日前は他人だったのにね」
そう。凛と須田は、同僚とはいえ、ロクに言葉も交わさない間柄だったのに。
今やこうして二人きりで、部屋にいるだなんて。そう思うと
凛は可笑しくて笑ってしまった。
「須田くん、何か飲む?」
「あんなに飲んだのにまだ飲むのはくるちゃんだけでしょ」
くるちゃん
その呼び名も、須田相手になら許可してもいいか、とも思った。
「芋焼酎好きなの?いいじゃん。俺も麦焼酎は良く飲むんだ」
「麦……飲んだことないです」
「飲みたくなったらいつでも。お勧め教えてあげるよ」
「ありがとうございます」
須田と所々で目が合う。その度に、まるで母親のような、親友のような。そんな優しい笑みを須田は浮かべていた。
「っあー!これだよ、これ!」
凛は帰宅と同時に、キンキンに冷えた缶ビールの蓋をプシュッと音を立てて開けた。
それをひとおもいに流し入れると、舞い上がった体温がゆっくりと冷えてゆくようだった。
「……さっきと別人だね」
須田がボソッと呟いた。
「今日はどうもありがとう。須田くんのおかげだよー!」
凛はバンバンと須田の肩を叩いた。
凛は今日の礼だといい、焼き鳥屋のあと須田をアパートへと招いた。
礼の礼の礼だと言い、須田と凛は笑い合った。
男性に不慣れな凛だけれど、須田にはすっかり心を開いていた。
「……不思議だよね」
アパートの部屋で、ネクタイを緩め寛ぐ須田を見て、凛は呟く。
「私たち、たった数日前は他人だったのにね」
そう。凛と須田は、同僚とはいえ、ロクに言葉も交わさない間柄だったのに。
今やこうして二人きりで、部屋にいるだなんて。そう思うと
凛は可笑しくて笑ってしまった。
「須田くん、何か飲む?」
「あんなに飲んだのにまだ飲むのはくるちゃんだけでしょ」
くるちゃん
その呼び名も、須田相手になら許可してもいいか、とも思った。