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初花凛々
第37章 雪消月
2月。


ロマンチックで、スイートなあの夜からどれくらい経ったのか。


人事部は春からの新卒採用の準備に向け忙しい時期を迎えていた。


新卒以外にも、春に待ち受けるそれぞれの部の異動や昇進など、変化があって忙しくなる季節


だからなんとなく、社内の雰囲気はピリピリとしているようにも感じられた。







「何回同じこと言わせるんだ!」


そんなある日、部長の怒鳴り声と、デスクを強く叩いたような、物騒な音がフロアに響いた。


ちょうど複合機の前で数百枚という資料を作成していた凛は、その音に驚いて振り向いた。


部長のデスクの前に突っ立って、首をもたげ項垂れていたのは、よく見ると新山だった。













「そーだよなぁ、怖いよな。人事の部長あんなに大声出さなくてもなぁ」


昼休みになり、凛が新山に声を掛けたらわぁっと泣き出してしまい、そこに営業の野村がやってきて慰めた。先程の部長の怒鳴り声は、営業部の方まで響いていたようだ。



「怒られて当然なんです。私が書類作成を何度も間違ってしまって」


新山はずっと泣くのを我慢していたのだろう。一度涙の防波堤が決壊したら、それは止まる事を知らず次々と溢れ出す。


ここ最近、人事部では連日残業が続いている。


社内には遅くても22時には帰らなければいけないという規則があるため、社員はそれぞれ家に仕事を持ち帰る。


凛も例外ではなく、帰ってからも部屋でパソコンを叩いていた。


麻耶はそんな凛に配慮して、仕事が落ち着いたら会おうといい、しばらく2人は甘い時間もお預けされている。



「社内で泣かないでよ。目障りなんですけど。泣くなら1人でこっそり泣きなよ」


ふとそんな声がして、振り返ると、営業部の如月が立っていた。


「人事の部長なんかまだマシじゃん。営業部なんかそのまま干されて終わりなんだから」


唐突な如月の言動に、野村はカチンと来たらしい。


「おまえ無関係だろ。口挟むなよ」

「それを言うなら野村くんもでしょ。他の部に構う余裕なんかないよ」

「はぁ?」

「人の心配する前に新規プロジェクトの心配すれば」


如月が現れてから、新山はただ俯いていた。


「あんたのそういうところが、前から気に入らない」


そんな新山に、容赦なく如月は言葉を投げつける。
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