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初花凛々
第37章 雪消月
新山は俯き、何も言わない。


「そうやって黙ってれば解決するとでも思ってんの?」


如月は、あぁ阿呆らしいとため息を吐いた。


「2度注意されて、それでも直らなきゃ周囲は見切るんだよ。あんたという人間をね。感謝しなよ。見捨てないでいてくれる先輩方に」


如月はふと凛の方に視線を向けた後、立ち去っていった。






「あの女、ありえねー」


その後社食に移動してからも、新山は相変わらず無言で。野村は文句を垂れていた。


営業部の成績で、常にトップに位置している如月。


そんな如月のことを、身体で誘惑でもしてるんだろ、と野村は陰口を叩いた。


「それは……ないんじゃないですかね」

「え?」

「如月さんって、倒れても業務遂行しそう」


如月はそんな姑息なことはしないのではないかと凛は思った。


それよりならば、真正面から勝負を挑むのではないか、と。


「……くるちゃん先輩、その通りですよ」


新山は、今にも消え入りそうな声を絞り出す。


「如月さんはそんなことはしません」

「奈々ちゃん」


新山を庇おうとする野村を、新山は自ら制した。


「野村さん、ごめんなさい。私野村さんに庇って貰えるような人間じゃないんです」


震える声。今にも消え入りそうなその声を、凛は聞き逃さないよう耳を傾けた。


「如月さんとは、根性が違うんです。私きっと、この仕事向いてないんだと思います」


その一言を聞き、凛は悲しくなった。


部長に怒られる前に、凛もここ最近の新山のミスの多さに気が付いていた。


それは忙しさのせいもあるだろうと思ったが、忙しいのは皆同じ。



「向いてないのは、私もだよ」


これは適当な慰めではない。

凛だって、先日初めて面接官として任命されて、ここ数日は何十人という人間を相手にしている。
履歴書に目を通して、質問を投げかける。
面接者は皆、緊張と不安を全身に纏ってやってくる。
この面接に来るまでに、たくさんの葛藤や弛まぬ努力をしたであろう人達を前に、全員合格させたいとも思うけれど。


しかしそういう訳にもいかず、冷静に、時に冷酷に見極めて行く。
面接官とは、なかなかメンタルを攻撃される立場だと凛は思いながら、厳しい目で評価する。




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