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初花凛々
第38章 風花
凛は麻耶の腕の中で、思い切り泣いた。


涙で朦朧とした頭で、ふと思い出したのは学生時代の思い出。


中学校の卒業式も、高校の卒業式も。皆が抱き合い涙を流す中で、凛は1人泣かずにいた。


もし、そこで涙を流せたのなら。


みんなと抱きしめあい、涙を分かち合えるのに。


卒業式のみならず、大好きな先輩が引退してしまう時や、凛自身が就職のため地元を離れる時でもそれは同じ。


凛は泣かなかった。


"凛って、泣くことあるの?"


そう言われることも、少なくなかった。


友達の前ではもちろん家族の前でも、最後に泣いたのはいくつの時だろうか。


よく、凛の父親は言っていた。


泣いても何も解決しない、と。


凛だってそれはわかっている。


けれども。


それが、今はどうだろう。


麻耶の腕の中で、こうして涙を流すのは何度目になるのか。


「泣くとサッパリして、また頑張ろうって思えるよね」


そう、麻耶が言うから。


凛は安心して、思い切り泣くことが出来る。


そして、その涙が止まる頃。


「……今度新山さんに会いに行きたい。その時、私も新山さんも笑ってこの事を話せるように。お互い幸せになっていればいいなと思う」


ほら。麻耶の言う通り。


涙とともに、ドロドロと悲しみは溶けて流れて


凛は前を向こうと思えた。


ぼんやりとした頭で、思う。


たったひとつの、泣き場所を見つけたのだ、と。

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