この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
初花凛々
第38章 風花

麻耶に色々聞きたいこともあったけれど、今日凛は疲れ果てていた。
弁当の為に早起きしたし、苦手な高くて速いものにたくさん乗ったし。
それに、あとは。
「……明日から新山さんが遠くに行くと思うと、なんだか……」
_____やるせない。
心の底から、疲れていた。
「凛ちゃん」
そんな凛に、瀬名は声を掛けた。
凛はこの時初めて、瀬名の顔をまじまじと見た気がする。
_____こんな顔、していたっけ。
そう思うほど、今日の瀬名は落ち着いているようにも、覇気がないようにも見える。
「奈々って、昔からあんな奴で」
「……あんな?」
「そう。あいつは色々、弱くて。だけどここ2年は別人てくらい楽しそうに笑ってた。それはきっと、凛ちゃんのお陰だね」
「え……」
そんな事ない、と凛は思った。
「新山さんは、私と初めて顔を合わせた時から、ニコニコしていて。甘い香りがしていて。すごく可愛かった______ 」
"くるちゃん先輩!"
凛の頭に浮かぶのは、新山の凛を呼ぶ声。
"飲みに行きましょうよ!"
親父な凛をいつも、可愛い場所へと連れ出すのは新山で。
"応援してます。くるちゃん先輩なら、きっと大丈夫です!"
西嶋に抱いていた恋心を、1番最初に打ち明けたのも、励ましてくれたのも新山だった。
熱い
喉のずっと奥の方がなにか握りつぶされるような感覚がする
瀬名の顔はぼやけ
もう、見えない_____
「いいんだよ。いっぱい泣け」
凛は泣いた。
麻耶の腕の中で
新山を思って、泣いた。
_____頑張れ、頑張れ奈々
一度も名前で呼んだこともない
ただの先輩後輩の関係。
けれども凛は新山が好きだった。
そして新山もまた。
凛はいつか、会いに行こうと思う。
今度は、友人として。
会いに行こうと思う。
弁当の為に早起きしたし、苦手な高くて速いものにたくさん乗ったし。
それに、あとは。
「……明日から新山さんが遠くに行くと思うと、なんだか……」
_____やるせない。
心の底から、疲れていた。
「凛ちゃん」
そんな凛に、瀬名は声を掛けた。
凛はこの時初めて、瀬名の顔をまじまじと見た気がする。
_____こんな顔、していたっけ。
そう思うほど、今日の瀬名は落ち着いているようにも、覇気がないようにも見える。
「奈々って、昔からあんな奴で」
「……あんな?」
「そう。あいつは色々、弱くて。だけどここ2年は別人てくらい楽しそうに笑ってた。それはきっと、凛ちゃんのお陰だね」
「え……」
そんな事ない、と凛は思った。
「新山さんは、私と初めて顔を合わせた時から、ニコニコしていて。甘い香りがしていて。すごく可愛かった______ 」
"くるちゃん先輩!"
凛の頭に浮かぶのは、新山の凛を呼ぶ声。
"飲みに行きましょうよ!"
親父な凛をいつも、可愛い場所へと連れ出すのは新山で。
"応援してます。くるちゃん先輩なら、きっと大丈夫です!"
西嶋に抱いていた恋心を、1番最初に打ち明けたのも、励ましてくれたのも新山だった。
熱い
喉のずっと奥の方がなにか握りつぶされるような感覚がする
瀬名の顔はぼやけ
もう、見えない_____
「いいんだよ。いっぱい泣け」
凛は泣いた。
麻耶の腕の中で
新山を思って、泣いた。
_____頑張れ、頑張れ奈々
一度も名前で呼んだこともない
ただの先輩後輩の関係。
けれども凛は新山が好きだった。
そして新山もまた。
凛はいつか、会いに行こうと思う。
今度は、友人として。
会いに行こうと思う。

