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初花凛々
第39章 春告げ鳥が啼く
「焦りすぎ」


と言って、バスルームを飛び出ようとする凛を麻耶は止めた。


「だって!みんな帰って来ちゃった!」


1人で盛り上がる凛のことを、麻耶はなだめながら。


「別に一緒に風呂くらい入るだろ。付き合ってんだから」


ふいに出た一言に、凛は動きを止めた。


「つ、付き合っている」

「うん」

「ということは私は麻耶の」

「彼女」


その、二文字は。


凛が昔から憧れていたもので。けれども縁がないものだった。


「じゃあ麻耶は私の!」

「彼氏」

「ひゃああ〜っ」


麻耶は可笑しくて笑ってしまった。


こんなことで、こんなにも一喜一憂する人は初めてだと思いながら。


凛も別に、言葉にこだわっていたわけではない。


恋人だろうが、なんだろうが、好き合っているのだからと細かいことは気にしていなかったけれど。


こうして麻耶に言われると、こんなにも嬉しくて。凛は子どもみたいに、無邪気に笑った。


そう、椿のことなんか頭からすっぽ抜けて。キャーキャーとはしゃいだ。























「おそーい。何してたの?お腹すいたー」


凛と麻耶がバスルームから出たのは、それから15分後のことだった。


椿は口をとがらせるようにして、2人の方へと視線を向けた。


凛はそんな椿の様子を見て、やっちまったな〜と思った。


お腹をすかせているみんなのことを、すっかり忘れていたから。


「すぐ夕飯支度します!」


そう言った凛のことを、麻耶はバスルームで制止した時と同じように止めた。


「いいって」

「でも」

「確かに夕飯は作ったんだし、いいじゃん。凛は家政婦じゃないんだから。あとはみんなでやればいいだろ」


麻耶はそう言うと、リビングのソファーに腰掛けている西嶋にも声をかけた。


「うまそ〜」


モツ鍋をのぞいて、西嶋はにんまりと笑った。つられて、田川も。


けれど、椿だけは。


「みんなで来てるのに、いちゃいちゃするのはルール違反」


と、むくれて言った。
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