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初花凛々
第40章 狂い咲き
_____ルール違反


人と恋愛という関係を築いたのは初めてのことだった凛は、恋愛のルールというものを破ってしまったことに落ち込んでしまった。


恋愛の世界においてのルールというものは、一体なんなのか。


麻耶を見ても、何も気にしない素振りでいるし。


この歳にもなって、そんなこともわからない女が彼女だなんて。いつか麻耶に恥をかかせてしまうかもしれないと思い、凛はますます気が沈んだ。







「いやいや、ルールなんてものはないから。あったとして、椿さんもルール違反してるからね」


そんな声が聞こえ顔をあげると、そこに立っていたのは黒縁眼鏡の。インテリ男子と称される。


「小松!!さん!!」

「おい一瞬呼び捨てにしただろ」

「してません!」


いきなり現れたのは、営業部の小松。


来るのが遅いだのなんだのと、西嶋が小松に文句を並べている。


「小松さんもこのグループ所属なの?」


麻耶に問いかけると、そうだという返事が返ってきた。


「小松は遠出のときは滅多に来ないよ。逆に、普段開かれてる飲み会とかはよく顔出してるけど」

「そうなんだ」


プライベートでもよく遊ぶ仲と聞いてはいたが、これほどまでに仲が良いなんて。凛は驚いた。


「さすが男子高」

「意味がわからん」


麻耶は訳のわからない凛を笑い、隣に座らせた。


「ルールが!」

「ないって、そんなん」

「でも」

「大丈夫。俺らのルールは、2人で決めたらいいだろ」


少々強引だったが、凛は麻耶に従った。


「胡桃沢さんはなんもわかんないんでしょ。須田の言うことだけ聞いておけばいいから」


と、小松にまで言われる始末。


「もしかして知ってるの!?」

「なにを?」

「あ、いやー、なんでもないです」


もちろん小松は、凛が何も恋愛経験がないということは麻耶からも誰からも聞いてはいない。


けれども、気付いていた。


あの夜に触れた唇から、小松はそれを読み取っていたのだ。


なんでもお見通しの、経験豊富な営業部の皆に凛は恐縮してしまった。


けれど凛も小松の言う通り、隣に麻耶がいてくれたのなら。


何があったって、大丈夫だと思えた。


_____2人のルールは2人が決めればいい


凛は恋愛の世界というものを、またひとつ知った。

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