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初花凛々
第40章 狂い咲き
とりあえず凛は、人数分の生ビールを樽からジョッキへと注いだ。


初めは泡に苦戦したが、次第に上手に出来るようになりホッとした。泡だらけのジョッキは、麻耶が手にしてくれた。


一方、いきなり現れた小松は、特に誰に挨拶する様子も、凛のように周囲に遠慮する様子もなく席に着く。


席に着いたと言っても、リビングの真ん中に置かれている木製のテーブルを囲み、床に腰を下ろしただけ。


ただ、小松の座った場所が凛の隣だったために、麻耶がわざわざ小松の腕を引き、違う場所へ座るよう促した。


_____面倒くさい、というような表情を小松は浮かべていたが、麻耶には借りがあるため渋々ながらも従った。


「おまえは油断ならねーからな」

「はいごめんなさい」


そう、借りというのは"凛の唇"のこと。


「胡桃沢さん、知ってる?」


麻耶に移動させられ、凛の向かい側に座った小松が早速、口を開いた。


「何を?」

「須田がさぁ、俺に度々暴力を」

「え?」


凛の隣に座る麻耶は、小松の供述に焦り始めた。


「業務中なのに、いきなり肩にパンチしてくるんだよね。しかも1日に1度は必ず」

「仕事中なのに?」

「そうなんだよ。なんとかしてくれないかな」


なぜ、麻耶が小松にパンチをお見舞いするのか。


そしてなぜ、止めるよう凛にお願いしてくるのか。


わからずに、凛は首を傾げる。


さっぱり意味がわかりませんという顔をする凛を、小松は笑った。


「いや、おまえ笑ってる場合じゃねぇぞ」

「ごめんて」

「なんつーか、たまに思い出して猛烈に頭にくるというか」

「本当に悪かったよ」


小松は麻耶というよりも、凛に向かって頭を下げているようだった。


それを見てもまだ、凛はなんのことかわからずにいる。


「……あのさ、もしかしてこの子わかってないんじゃないの」


小松が、並々と注がれた生ビールをごくりと飲みながら麻耶に問う。


「かもな」


麻耶も、泡だらけのビールを飲みながら笑った。


「なに?なに?」


まだ理解していない、けれど興味だけはある凛のことを、2人はケラケラとより一層笑う。


そんな2人の様子を遠巻きに見ていた椿は、更に頬を膨らませたように凛には見えた。
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