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初花凛々
第43章 紅差し指
女を恋愛対象ではなく、SEXの対象として見る。


時に食事を共にしたり出掛けたりもするけれど、それは全て"あの行為"に結びつける為のものでしかなかった。


一度軽い気持ちでSEXした相手が、実は自分に本気だったという事態に発展したこともある。


散々泣かれ、終いには保護者まで登場したことも。あれは20の冬だった。麻耶の父が亡くなって、すぐの頃____


それから学び、そんな関係になり得そうな相手には事前に言った。


SEXは誰とでも出来る。例えそこに愛がなくとも____


それで良しとした相手とのみ、同じ快楽を貪り合う。快楽、とは言っても、絶頂を迎えつつもなにか物足りない。まるでマスターベーションを途中で切り上げられたようななんとも半端な快楽しか得られなかった。







_________だから、なぜ、と思う。



この気持ちはなんなのだ、と。


初めて見たとき、きっと自分とは決して交わらないと思った。


道が違う。照らす太陽が違う。世界が違う。


全てが違うと知ってからも。


このままでは、自分が自分でなくなってしまうかもしれない。


もう離れなくては。


そう決めたときには、もう________










彼女が与えてくれる快感は、全てが違っていた。


拙い指と舌の動きと。声と。


汚しちゃいけないと思いつつも、止められない。


依存性があるのかもしれない。


彼女を求め、やまない。


最後まで繋がることだけは許されない状況の中、何度も懇願された。


お願いだから、挿れて____


死ぬ気で煩悩を飛ばし、きっと魂を削がれながらもなんとか思い留まる。


自分でも可笑しかった。今までは女が泣こうが喚こうが、気にも留めなかったのに。


彼女だけは悲しませたくない、汚したくないと強く思う。


そんな彼女の肌を味わったあとは、堪らずに処理するしかなかった。自分で。


彼女を想いながらするそれは、絶望と罪悪感に苛まれながらも快感が段違いだった。


今までしてきたSEXよりも、彼女を想いながらするマスターベーションが気持ち良いとはどういうことなのか____


麻耶はそんなことを思いめぐらせながら、腕の中で眠る凛を、強く抱きしめた。
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