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初花凛々
第6章 恋水
別荘へ行くか、否か。


凛が迷っている間にも、決断の時は刻一刻と迫る。


「別荘泊まった翌日は海行くんだよ」

「げ」


須田から日程が発表され、海と聞き凛は益々迷った。


「西嶋、いい身体してるよ?」

「え……」

「普段はスーツに隠れた部分…、見てみたいと思わない?」


須田は面白がって、凛を煽る。


「み……、見たすぎます……!」

「はは、じゃあ決まりね」

「あっ、ちょっと!」

「もうくるちゃんは人数に入ってるから。こんな絶好のチャンス逃せないって。わかってんの?」


須田にそう言われたが、当の凛本人だってそれくらいはわかっている。こうして社外で、プライベートとして会える機会なんか滅多にないということ。


「わかってるけど…、可愛い部屋着もないし…」

「あぁ、いつも着てる部屋着はさすがにやめとこ」


凛はいつも、部屋で一人過ごす時は高校の時の指定ジャージを着用している。胸元には"胡桃沢凛"という刺繍入りのものだ。


「どうしよう。他に持ってないよ」

「水着も準備しないとだよ」

「だよね……」

「わたあめにでも選んでもらえよ。それとも俺が選んであげよっかぁ?」


須田は、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべた。


「いえ、結構です!間に合ってます!」


_____きっと須田に任せたら、大変な物を買わされそう。例えば、ビキニとか。


そう思った凛は、須田の誘いを丁重にお断りした。
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