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初花凛々
第1章 紫陽花の刻
「……胡桃沢さん?」


ベンチに項垂れていると、優しくて低い声が聞こえて顔をあげると、そこに立っていたのは凛の勤める会社の同僚でもある西嶋だった。


「これ使っていいよ」


爽やかにそう言って、西嶋は黒い傘を差し出してきた。


「女の子は嫌かな?こんなカラスみたいな傘……」


なかなか受け取らない凛に苦笑いした西嶋を見て、凛は急いで否定する。


「そんな事ないです!……私が傘を借りたら、西嶋さんが濡れちゃうかなって」

「心配しないで。俺あいつの傘に入ってくから」


西嶋がふいっと向けた視線の先を追うと、そこには同じく会社の同僚の須田の姿があった。


須田 麻耶(すだ まや)


凛はこの、須田という男が苦手だった。


凛の勤める会社は洗剤メーカーなのだが、須田と西嶋は営業部に属し、凛は人事部に属している。
違う部なので接点はないようにも思えるが、営業部と人事部は同じフロアなため、毎日顔を合わせるので接点はある。



けれど凛と須田は、会話などした事がない。日々の社交的な挨拶程度なら、申し訳程度に交わすけれど。



凛が須田を苦手とする要因はいくつかあったが、まず一番苦手なのは、須田の容姿。


_____相変わらずチャラいなぁ……


営業部の男性陣は、割と真面目な雰囲気の男性が多い。凛のお気に入りの西嶋もそう。第一印象が大切な営業マンにとって黒髪が一般的なのに、須田だけは栗色の髪をしていて。軽いイメージに拍車をかけているように思えた。




そして、須田の目。


ギョロッと大きくて、少しつり気味の目はとても意地が悪そう。


_____西嶋さんとは大違い。


西嶋と須田は同じ営業部で、普段から仲が良いのだろう。社内でも一緒にいる所をよく見かける。


_____なんであんな奴と仲が良いんだろう?


実のところ、凛は入社当初より西嶋に対し淡い恋心を抱いていた。先述した通り"高嶺の花"よりも手が届きやすい手頃な魅力を持っている凛は、男性にアプローチされる機会が割と多かった。


だが、凛はそれに応じた事はない。それは西嶋に対する秘めた恋心の所為でもあるが、本当の理由は_____


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