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初花凛々
第1章 紫陽花の刻
雨で冷えた身体に、ぶるると身震いする。
_____今日はアパートの近くの銭湯に行こう。
凛は、社内では"高嶺の花"…とまではいかないが、男性の目を惹く華やかな容姿の持ち主である。元々美容やコスメに興味があり、普段からヘアケアなども抜かりない。手入れの行き届いた艶々の黒髪と白肌は、男性の目を惹き付けるに充分だ。
けれど、肝心の中身はというと……
_____そんで風呂上がりは、コーヒー牛乳でキュッとやろう。楽しみだなぁ…ひひ。
……まるで親父である。
大好きな銭湯とコーヒー牛乳を想像し、いそいそと改札に向かう。
…と、そこで凛は足留めをくらう。
「うげっ」
思わず声が漏れたのは、改札の掲示板に"事故のため、本日運休"と書かれていたからだ。
凛は給料日前のため、余分なお金は財布に入ってない。僅かに入っていたお金は、先ほど素敵な和菓子となった。
定期はあるけど今日は使えない。それにバスやタクシーに乗るためのお金なんか持ち合わせていない。
徒歩で帰るにしても、この雨じゃ……。
凛はほとほと困り果てて、改札近くのベンチに力なく腰をおろした。
_____どうしよう。
さっきまで素敵な音色を奏でていた雨音が、鬱陶しいものに変わった。
_____今日はアパートの近くの銭湯に行こう。
凛は、社内では"高嶺の花"…とまではいかないが、男性の目を惹く華やかな容姿の持ち主である。元々美容やコスメに興味があり、普段からヘアケアなども抜かりない。手入れの行き届いた艶々の黒髪と白肌は、男性の目を惹き付けるに充分だ。
けれど、肝心の中身はというと……
_____そんで風呂上がりは、コーヒー牛乳でキュッとやろう。楽しみだなぁ…ひひ。
……まるで親父である。
大好きな銭湯とコーヒー牛乳を想像し、いそいそと改札に向かう。
…と、そこで凛は足留めをくらう。
「うげっ」
思わず声が漏れたのは、改札の掲示板に"事故のため、本日運休"と書かれていたからだ。
凛は給料日前のため、余分なお金は財布に入ってない。僅かに入っていたお金は、先ほど素敵な和菓子となった。
定期はあるけど今日は使えない。それにバスやタクシーに乗るためのお金なんか持ち合わせていない。
徒歩で帰るにしても、この雨じゃ……。
凛はほとほと困り果てて、改札近くのベンチに力なく腰をおろした。
_____どうしよう。
さっきまで素敵な音色を奏でていた雨音が、鬱陶しいものに変わった。