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初花凛々
第7章 風薫る
青々しく茂った緑が、南風によって揺れる。
葉と葉が擦れる音を聞き、凛はそっと目を閉じる_____
「くるちゃん、こっち」
別荘へと向かう当日。
待ち合わせ場所の駅前に凛はいた。
既に着いていた須田に手招きされ、寝不足の凛は駆け出した。
凛は、これまで見た事のないような黒の大きな車に乗るよう須田に指示された。
「どーしよう!やっぱり帰りたい!」
「今更、抵抗したって無駄」
有無を言わさぬ須田は、尚も抵抗を続ける凛を助手席に押し込んだ。
「これって須田くんの車?」
「そうだよ」
「なんかいい匂いがする……」
須田の車内は、フルーツのような、石鹸のような。なんだかとてもい匂いがした。
「なんていう車?」
「言ってもわかんないよ」
「わかるかもしれないから教えて」
「PRADOだよ」
「知らない」
須田は笑って、それを見て凛も笑った。
「……つーかさ、荷物多すぎない?たかが一泊なのに」
須田がそう言うのも無理はない。凛は、米俵ほどの大きさのバッグを二つも抱えてやってきた。
「全部必要なの」
「嘘だろ」
「ほんと!」
「最低限だけ持って、あとは車に置いとけ」
「えー」
憧れの西嶋が来ると思うと、凛は浮き足だちあれもこれも必要だと、たくさんの化粧品を詰め込んだ。
あとはたくさんの着替えも一緒に。
「三日分の着替えなんかいらないから!」
「へへ、気合い入れすぎ?」
「相当ね」
凛は緊張していたが、須田と話すうちにだんだんと緊張もほぐれてきた。
「あ、あれって西嶋さん……?」
車を走らせて15分。
須田が路肩に駐車すると、前方から西嶋らしき人物があるいてきた。
その姿を確認すると、再び鼓動が早くなる。
葉と葉が擦れる音を聞き、凛はそっと目を閉じる_____
「くるちゃん、こっち」
別荘へと向かう当日。
待ち合わせ場所の駅前に凛はいた。
既に着いていた須田に手招きされ、寝不足の凛は駆け出した。
凛は、これまで見た事のないような黒の大きな車に乗るよう須田に指示された。
「どーしよう!やっぱり帰りたい!」
「今更、抵抗したって無駄」
有無を言わさぬ須田は、尚も抵抗を続ける凛を助手席に押し込んだ。
「これって須田くんの車?」
「そうだよ」
「なんかいい匂いがする……」
須田の車内は、フルーツのような、石鹸のような。なんだかとてもい匂いがした。
「なんていう車?」
「言ってもわかんないよ」
「わかるかもしれないから教えて」
「PRADOだよ」
「知らない」
須田は笑って、それを見て凛も笑った。
「……つーかさ、荷物多すぎない?たかが一泊なのに」
須田がそう言うのも無理はない。凛は、米俵ほどの大きさのバッグを二つも抱えてやってきた。
「全部必要なの」
「嘘だろ」
「ほんと!」
「最低限だけ持って、あとは車に置いとけ」
「えー」
憧れの西嶋が来ると思うと、凛は浮き足だちあれもこれも必要だと、たくさんの化粧品を詰め込んだ。
あとはたくさんの着替えも一緒に。
「三日分の着替えなんかいらないから!」
「へへ、気合い入れすぎ?」
「相当ね」
凛は緊張していたが、須田と話すうちにだんだんと緊張もほぐれてきた。
「あ、あれって西嶋さん……?」
車を走らせて15分。
須田が路肩に駐車すると、前方から西嶋らしき人物があるいてきた。
その姿を確認すると、再び鼓動が早くなる。