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妖精王は軍人に奪われる
第5章 淫靡な一時
「…なにをしているんだ…?」
様子を見ていたメアが小さく呟く
突如木の根元の"なにもない場所"を
見つめたかと思ったら、驚いた表情で
後ろを振り返って唇を動かしている
(妖精王とやらは、人に見えぬモノまで
見ることが出来るのか…)
ずっと驚いたままその場から動こうと
しない様子を眺め、助けが必要なら
声をあげるだろうと考え本に視線を戻す
(人に見えぬモノ…か)
す、と目を細めて虚空を見つめ
居ないはずの影を追う
「昔から、お前の幻覚だけが見える
アルマ…」
影を消すように目を閉じて呟くと
自らを嘲るように苦笑して、
本のページをめくった