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妖精王は軍人に奪われる
第5章 淫靡な一時
ふと、アイリスは木の根元に咲いてるはずの
ない花が佇んでいるのが見えた
歩み寄って花の前で座り、見つめる
(勿忘草[ワスレナグサ]…?)
ワスレナグサ。花言葉は確かー…
『私を忘れないで』
後ろから聞こえた言葉にアイリスは
驚いて振り向く
そこには、アイリスと瓜二つの
いや、正確には蝶の羽がないがー
長い紫の髪の女性が、悲しそうに
立っていた
(…この、人…、私に似ている…)
「貴女はー」
『私を、忘れないで…でも、私は
あの人を縛りたくないの』
アイリスが語りかけてみようと口を
開くも、遮られた
『ねぇ、貴女は私にとっても似ているわ
貴女なら、私からあの人を解き放ってくれる?』
こちらをみ見て悲しげに語る女性は
頬を伝う涙もそのままに真っ直ぐに
アイリスを見つめた