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妖精王は軍人に奪われる
第5章 淫靡な一時
「さて、俺は軍議に行くとしよう。
…近々また戦が始まる」
カタン、と音を立ててメアは立ち上がり
後ろを振り返らずに扉の向こうへと去る
「…だって…無理をしないと。貴方は、
貴方の身体は…怪我をする度に人では
なくなるというのに…」
「…な!今の話、教えてください!!」
ぽつりと呟かれたその言葉にアイリスは
驚き、過去のアルマに声をかける
しかし、声は届かず虚しく響くだけ…
それを見せているアルマが説明をする
『…あの人は、身体に天壊種の細胞を宿している
怪我をしたらその細胞により治癒されるの』
「それは…教えてもらいました」
『そう。でもね、あの人自身…人間である
部分は、天壊種の細胞の治癒で徐々に少なく
なっていくの だから、半分人、なの』
自己治癒する度に徐々に侵食される。
それは人としての部分を失い、やがては
天壊種に呑まれてしまうことを指していた
『この時既に、半分以上が呑まれていたの
あの人はどういうわけか天壊種にならずに
今でも意識を保てているようだけど…
私はそれを止めるためにあの人に怪我を
させたくなかった。そして、戦いを止めたかった
でも…やっぱり、戦いは起きてしまったの』
そう言い放つと同時に情景が変わる
戦場と呼ぶに相応しい場所の、その最前線に
アイリスは立っている
そして傍には、アルマとメアが息を揃えて
攻防を繰り広げていた