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妖精王は軍人に奪われる
第1章 残酷な運命
パチ、パチと焚き火が燃える
木々達は火から離れるように囁き、
火の粉が飛ばぬよう風を寄せ付けまいとした
(暖かい…助けるときは嫌な人だと思ったけど
案外良い人なのかな…)
「そこの、暖かい飲み物はいかがかな」
アイリスは礼を言うと素直に受け取った
口を付け、少し甘いレモンの香りに
顔を綻ばせる
アイリスは視界の端で商人の男が
笑ったような気がしたが、気のせいだろうと
飲み物を喉に流しこんだ
(甘くて、美味しい…)
そうして、色々な話をし盛り上がった時
商人の男は食い入るようにアイリスの
ことを聞いてきた
「それで…お前は妖精なんだな?
そうなんだな?」
しつこい問いに半ば困りながら頷くと、
商人が勝ち誇ったように笑った
「ふははは!!やったぞ!妖精を捕まえた!
森に火を放ったかいがあった!」
驚き声を出そうとしたが、急に眠くなり
目の前が暗くなってアイリスは倒れた