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はじめの一歩
第1章 Butterfly
「もう帰らないといけないのなら、タクシー拾うけど。僕はできれば一緒に居たい。…朝まで一緒に過ごしたいと思ってるんだけど、それは性急すぎるかな?」

チラリと彼女を伺いながら聞く。

彼女は無言のまま、僕のコートの袖の、二の腕あたりをきゅっと握った。

肯定、と取ってもいいのだろうな。

彼女を伴い、ホテルを探す。

辿り着いたのは、所謂、ファッションホテル。

こういう場所は来慣れていないのだが、もう普通のホテルのチェックインが出来る時間でもないし、致し方ない。
隣の彼女を見ると、無表情のままで。
嫌なら嫌で、何かしらリアクションが欲しいものだが…何も言わないのでそのまま建物に入った。

正直、部屋の良し悪しもよくわからないので適当に選ぶ。

フロントらしきカウンターも壁に覆われていて、10㎝くらいの隙間が空いているだけだ。

そこから人の手がでてきてルームキーを渡してくれる。
顔を見られないよう配慮しているつもりだろうが…なんとも言えないものがある。

悪いことをしているわけではないのに、この雰囲気が逆に後ろめたさを感じさせるんじゃ…と思わなくもない。
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