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はじめの一歩
第3章 夫婦のカタチ
通勤と仕事中はマスクで顔を隠していたが、さすがに飯と一服の時はマスクもできない。

昼休み、喫煙室で一緒になった同期の北川は、俺の顔のキズを見るなり目を丸くして。

「どうしたんだその顔。」

と言った。
嫁と喧嘩して引っ掻かれた、と言うと腹を抱えて笑い出す。

「イロイロ大変なんだよ。独りモンにゃ理解出来ない事情があるんだ。」

ふぅん、と興味なさそうに煙草に火を付けて。

「俺やっぱ独身でイイや。」

と呟いた。
結婚した事を後悔してるわけじゃないけど、独身時代に思い描いていた結婚生活ではない、とも思う。

どっちがいいかなんて、正直判らない。ただ、エミのことが好きで、ずっと一緒に居たいと思って結婚した筈なのに…なんで、こうなるんだろう…
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