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はじめの一歩
第4章 Let's party
「あれ?巽先輩ですか…?」

社内のカップ自販機で、コーヒーを買って飲んでいた時、不意に声を掛けられた。

「…えーと…」

誰だ、コイツ…見覚えあるようなないような…

「僕、谷口洋平です!高校の水泳部の後輩の!」

「…タニグチ…?あッ…!モッ…」

ようやく思い出した後輩の、当時のあだ名を言いかけて、すんでの所で自制した。
うん、会社で昼間に言っていいワードじゃなかった。

「…タニグチかぁ…服着てるからわかんなかったわ」

「そこ何で大人になったからとかじゃなく着衣判断なんスか…その言い方、まるで僕が変態みたいでしょ?」

唇を尖らすタニグチは童顔で、高1の頃と殆ど変わってない気がする。顔は変わってないけど、タイムラグがありすぎて、記憶の照合に時間がかかっただけだ。何しろ高校卒業してもう9年。タニグチは2コ下だから、俺が3年の年に1年で入ってきた後輩だった。実際新入生の入部から3年が引退するまでの、数ヶ月しか一緒にいなかったし、当時の1年部員なんて殆ど記憶にない。
ただ、コイツは違った。いろんな意味で印象的すぎた。
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