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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第9章 クリスマスなんて…☆【雅】
「…チッ!!」
すぐそこなのに…
目前にきての思わぬ足止めに、焦っても仕方がないことはわかっていた。しかし、どうしようもないイラだちが募って仕方がない。
いまだアイツと連絡のとれない携帯を握りしめながら、少しクールダウンにと運転席のウインドーを下げれば、肌を刺す冷たい空気が差し込んでくる。
温度計を見ればもちろん一桁だが、吹き抜ける北風に体感温度はそれよりもずっと低かった。
そんななか目に浮かぶのは無論、自分を待つ彼女の姿で…
すると外へ伸ばした手に不意に冷たい物が触れた気がした。まさかと思って顔をあげれば、真っ白いなにかが空から舞い降りてくるのが目に映る。
「ッ…!!」
次の瞬間、オレはクルマのステアリングを思いきり左に切っていた。
普段なら大事なクルマを路駐なんてもっての他だけど、考えるよりに先にカラダが勝手に動いてて…
車体をギリギリまで歩道に寄せて、コートを片手にひっかけるや否や運転席から飛び出すオレ。
少し距離はあれど走ったほうが速いって思う前に足は動いてて、切りつけるような冷気を頬に感じながら人混みを掻き分ける。