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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第11章 クリスマスなんて…☆【渚】
独特の浮遊感にヘリの機体が真冬の東京の空に舞い上がる。
それから数分後…
「…もういいぞ」
上空600メートルの空飛ぶ密室。オレはそこで初めて千隼の目隠しを外す許可をした。
久しぶりに光を目にする彼女は、そこに飛び込んできた光景になにを思うだろうか。
オレが見せた世界に…
「ほら…しっかり目を開け」
「ちょっと待っ…ッ…──!?」
もちろんそれは、窓の外の宝石の海のような壮大な都市夜景でもなければ…
豪勢な機内でも、テーブルに置かれるシャンパンでもケーキでもない。
オレが彼女に見せたかったもの。
それは…
「Hyvää joulua!Chihaya」
現地の訛りのネイティブなノルウェー語で"メリークリスマスと"…
「え…」
目を見開いて言葉を失う千隼の目の前にいるのは、顔をくしゃりとして頬笑むとあるひとりの初老の男性。
それも、真っ白な髭に、真っ赤な服を着ている。
「ど…して……、へ…?なんでッ…!?」
「ほら…」
「サンタ…さん?」
ようやく事を理解したのか、信じられないというような顔をして隣にいるオレを思いきり振り返る彼女。
そんな彼女にオレはとある物を手渡してやる。
「これ…なんでッ…」
言葉を詰まらせている彼女の手元には蝋封が施された一通の封筒。
「どうしても会って渡したかったんだろ?」
「でも…ッ…、嘘…───」
それは千隼の書いたサンタクロースへの手紙で…
それを渡す相手が今、彼女の目の前にいるのだ。