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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第12章 ちーちゃんの夏休み♡partⅢ♡
…あぁ
あれは、そう…
こんなやりとりからだったと思う。
"…ちーちゃん"
自ら重ねた唇の隙間からふと優しく名前を呼ばれると、抱きしめられた腕にそっとつま先立ちが解かれた。瞳に降ろしていた帳を持ち上げれば、綺麗な指先にアタシの髪を絡めながら微笑む葵くんがいる。
絶妙なウェリントン型の黒縁のレンズ越し。周りにこんなにも壮大で美しい景色がたくさんあるというのに、アタシだけを映したその瞳はいつになくどこまでも優しい。
「ダメでしょ?急にそんな可愛いコトしちゃ…」
そんな瞳で見つめたまま、はらりと髪をほどいた指先の裏でアタシの頬に触れる葵くん。
「…ダメ、だった?」
「ダーメっ」
どうやらアタシを叱っている…
「……もっといっぱいしたくなるから」
「………!!」
…訳ではないようだ。
「ふ……ッ…ン、ぅ…──」
降りてきた指先にそっと下唇を割られ、今度は彼の方から施されるさっき自分からしたのとは比べ物にならないような、カラダ奥に熱を灯すような口づけに全身から力が抜けていってしまう。
……………ハァ、ここまではいい。
え、外なのに…!?
え、まだ昼間なのに…!?
否、いいんだ。とにかく、ここまではよかったの。
ムムッ…
いいからここまではよかったってことにしといてほしい。お願いだ。