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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第17章 ちーちゃんの夏休み♡partⅧ♡
「ちぃ、顔…」
すると完全に体重を預ける形で倒れ込んだ雅くんの腕のなか、頭のうえからそんな声が掛かった。
え、もしかして怒られる…!?
足は踏んずけてないはずだけど、彼の声色がさっきとは明らかに違っていることに気づくアタシ。
「だ、だからゴメンなさいって…」
「そうじゃねぇよ」
おウッ…
そうじゃないって…
だけど顔をあげれば案の定、THE・不機嫌で怪訝な表情。
それに相変わらずの口調に呆れ声とため息だ。
しかし…
「…んだよ、お前。こんなこと確認したくねぇけど、昨夜ちゃんと寝かしてもらってねぇのかよ」
あ…
頬に触れた指先は優しくて、眉根よせて顔色を確かめる彼の瞳は心配の色を帯びている。それに…
「…ったく、さっきから足元フラフラさせやがって」
なんて口では悪態をつくものの、
「危なっかしくて見てらんねぇし」
些細なことに気づいてくれて、
「…あんまり心配させんじゃねぇよ」
アタシを抱えたままそんな溜め息とか…。
そんなところがさっきの"だって…"の先に繋がって、自然と結びつくその答えに思わず淡い笑みが溢れる。
そんなアタシに彼は、こんな時になに笑ってんだよ。と軽く顔をしかめたけれど…
意外?
…ううん、今はそんなことはちっとも思わない。
だって…
「嬉しいから…」
「あ?」
「心配してくれて」
「───!!」
一見ぶっきらぼうに見える雅くんはこんなにも優しくて、
「…あれ!?耳、赤いよ?」
「ばっ!!…ッ、かくねぇよ」
根っこのところにある暖かいものをちゃんとアタシに向けてくれる彼の腕は、こんなにも暖かいんだもの…。